コベント・ガーデンの《マクベス》
昨秋、マエストロ・ムーティがコベント・ガーデンの《運命の力》公演をキャンセルした折のグレイト・ブリテンの反応は、凄まじいものでした。それは、マエストロ再登場への期待がどれほど大きかったかの表れでもあったのでしょう。
コベント・ガーデン250周年を記念して1982年に出版された同歌劇場のポートレート集に、マエストロの《マクベス》(1981年3月、4月上演)のリハーサルの模様が載っています。当時、日本の音楽雑誌で公演の模様が紹介されるだけで演奏がどのようなものかはわからず、もどかしい思いをしていたところへの出版だったので、翌年日本に輸入されるや否や、すぐに購入した本でした。演奏は後に、プライベート録音テープ、そして、数年前にはプライベート盤で聴くことができました。
録音で聴くスコットのマクベス夫人の鬼気迫る歌いぶりは非常に素晴らしく、スカラ座でマエストロが上演したどのマクベス夫人も彼女には敵わないと思ってしまいます。演出家の Moshinsky とマエストロの二人が彼女に触れんばかりの近さに立って、夢遊病のシーンのリハーサルを行ったというこの本の記述を読むと、ますます舞台の映像が観たくなります。
この本にはマエストロのピアノによるリハーサル風景写真をはじめ、何枚か印象的な写真が載っていますが、いちばんは、ピットの中のマエストロの指揮姿をとらえた6枚の写真でしょう。舞台を見つめる瞳の厳しさ!歌手はどんな気持ちだろう、と戦慄がはしるほどです。
劇場の人マエストロ・ムーティがオペラを存分に振れる日が待ち遠しいです。
The Royal Opera House Covent Garden
Book Club Associates, London
1982


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