マエストロ・ムーティは14日にリンカーン・センターで、Musical AmericaのMusician of the Year 2010 を受賞しました。
スピーチはユーモアに満ちた前置きと、人間の小ささを厳粛に受けとめる内容でした。
作曲家、楽器奏者、歌手に比べると、自分は何の音も創りだしていない、でも、指揮者としての自分は実際何をするというのだろう、と指揮者と他の受賞者との違いにあらためて気落ちしてみせています。
マエストロ独特のユーモアです。
ケルビーニ管との公開リハーサルでも、ケルビーニ管がいなければ、自分は静かにしているだけだ、何もできない、指揮者には音が出せない、とイタリア語のmutoとMutiをかけあわせて、聴衆を笑わせたことが報じられていました。
授賞式のスピーチでは、それに続けて、警察官に《未完成交響曲》の振り方を教えたときのことを話し(随分前に、ナポリの新聞で、交通整理にあたる警察官とマエストロの関わりが記事になったことがありますが、そのことでしょうか)、指揮者の仕事をユーモラスに描き出しています。つまり、腕をあげてそれを動かせば、オーケストラは演奏しはじめる、腕の動きをとめれば、オーケストラは演奏をやめ、音楽は終わる、指揮者にあるのは、この二つの動きだけだ、そして、喝采を受け、報酬を受け取って、去っていくだけ、とジョークを飛ばしています。
指揮者は腕を使うことで自分の音楽的解釈を伝え、それを受けて演奏家は指や口で音を生みだす、とマエストロは語っています。
でも、音符の背後にあるものは無限で、それは神ともいえるものであり、我々が神の前ではどれほど小さな存在か、何もできない存在か、ということである、と結んでいます。
2009年12月15日 Musical America
Musical America Annual Awardees Impress
2009年12月14日 New York Daily News
Maestro Muti
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