漫画『のだめカンタービレ』が大人気です。コミックス第二巻が出た頃から読みはじめましたが、オーボエの黒木くんを好ましく思いながらも、いろいろ登場する指揮者のキャラクターに興味津々です。そのような漫画人気もあるのでしょうか、今日のNHKラジオ第一の『きらり10代!あこがれ仕事百科』では指揮者がとりあげられ、とても面白く聞きました。
フロックコートで登場した指揮者の齊藤一郎さんが語った言葉の中でいちばん印象的だったのが、過去の古い人たちの作品に触れることで人間として成長した、ということでした。人生などで迷ったときには先人の遺したものの中に教えや答えがある、というような趣旨です。
また、スタジオにいた高校生たちが、オーケストラのメンバーとの人間的ふれあいを指揮者のあり方として最重要視したのに対し、たとえオーケストラから嫌悪されるような人間であっても、その音楽がすぐれていればオーケストラはついてくると語っていたのも、実際に指揮活動している人ならではの考えだと思いました。
http://www.nhk.or.jp/kirari10/job/
先人の教えに触れることの大切さは、マエストロ・ムーティから随分学んできました。
マエストロが高校 liceo や大学の哲学科であたりまえのように教養として積んできたことは、もちろん日本の学校教育、大学の教養課程でも一般知識として修得することができます。しかしながら、アウグスティヌスやセネカについて語るマエストロのインタビューを読んだときには、大学時代の熱に浮かれたような哲学熱、ユマニスト熱の記憶が蘇ってきて、こんなところにもマエストロとのつながりがあったのか、と嬉しい驚きで心がいっぱいなりました。マエストロがそういった哲学者たちの思想からどのような道を探し出そうとしているのか、とても心をひかれます。
マエストロは、過去のことは振り返らない、とスカラ座辞任後何度も語り、それは自分の南イタリア人としての気質、常に前をみるポジティブなキャラクターによっていると言っています。
英語文化(広くはキリスト教文化)における聖書の教え「後ろを振り向くな」について書いたコラムを、とても興味深く読みました。聖書も先人の教えであり、マエストロの中に根を張っているものだと言っていいかもしれません。
はたして、英語文化では過去を振り向くことを日本の場合ほど重視しないのかどうかは、比較文化的検証にまかせますが、コラムを読みながら、マエストロのことを思いました。
2005年11月20日付 ASAHI WEEKLY紙
英語文化が示すpast(過去)
創世記―ソドムとゴモラ、ロトの妻の塩柱
Flee for your lives; do not look back and do not stop anywhere in the Plain. Flee to the hills or you will be swept away.
イザヤ書
Cease to dwell on days gone by and to brood over past history.
ピリピ人への手紙
All I can say is this: forgetting what is behind me, and reaching out for that which lies ahead, I press towards the goal to win the prize which is God's call to the life above, in Christ Jesus.
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