マエストロ・ムーティとウィーン国立歌劇場来日公演も3公演日目。
初日、二日目は席のせいもあってか、歌手の声が細く聴こえたり、輝きを欠いているように感じられ、重唱のバランスも危うい時があったように思えました。
それが、今日はフリットリの、クリームのようにまろやかでとろけるような歌声が聴こえてくるではありませんか。全然、重くないですよ。
その上、シャーデも声のコントロールがよく効いていて、フィオルディリージが遂に陥落してしまい、二人が抱擁しあう二重唱は、愛の喜びに溢れていました。
フリットリは、カーテンコールで聴衆へ感謝の投げキッスを何度もするほど、満足げでした。
今日のカーテンコールは、フィオルディリージとフェッランド、ドラベッラとグリエルモというペアでも行われ、一度は終わった恋が、また新たに始まったかのような気持ちにもとらわれてしまいました。
特筆すべきは、ハンマークラビアを弾いていたスカップッチ。フリットリがカーテンコールで必ず彼女に称賛の拍手を送るのは、本当にそれだけの価値があるからです。
フリットリのサイトに載っている、マエストロ達との食事写真にも出ている、ブロンド、小柄でとてもとてもキュートな女性です。
マエストロは、今日も、舞台上の歌手達を食い入るように見つめながら、細やかでわかりやすい指揮をしていました。
初日に思ったのが、ハートのペンダントの授受をめぐる、ドラベッラとグリエルモの愛の二重唱が、これほどまでに洗練されていていいのか、という新鮮な感動でした。
二人の官能的な歌をここまでやわらかく、繊細な気持ちの動きにおきかえてしまうとは。ザルツブルク・ライブに慣れた耳には、歳月の流れがマエストロに与えた素晴らしい成熟が深い驚きでもありました。
二日目も今日も、マエストロは終演後、ソリスト達と並行して、ファンのためにサイン会を行ってくれました。
その時に見られるマエストロのリラックスした笑顔は、何物にもかえがたい、大切な大切な宝物です。
最終日は、さらに一層素晴らしい上演となり、マエストロとファンの心に残る一夜となりますように。
さて、席ですが...。
初日は3階L最奥でずっと立って聴きました(本当のロッジョーネ)。二日目は3階R真ん中あたり。今日は2階L舞台寄り。
前売り時には公演へ行く予定が全く立てられなくて購入できず、ここ2~3週間で譲っていただいた席ばかりですが、その方たちには、本当に感謝しています。
ピットの中のマエストロの指揮を見ていると、そこから音が立ち昇ってくるのが感じられます。
このように何も言うことのない《コシ》ですが、Soave sia il ventoを聴くのが悲しい。マエストロはaldila'へ旅立つときに、この音楽を聴いていたい、と言っていて、それほどまでに美しい音楽なのですけれども...。
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